この記事でわかること
- ビタミンKが持つ2つの主な役割(血液凝固・骨の健康維持)
- ビタミンKの種類(ビタミンK1とビタミンK2)の違い
- ビタミンKが多い野菜ランキング(1位〜5位)
- 【実際の1食量で見る】ビタミンKを多く含む食べ物
- 効率よく取り入れる調理のコツとオイルの組み合わせ
- ビタミンKの1日の目安量(年代別・妊婦・授乳婦)と不足時の影響
- ワルファリン(抗凝固薬)服用時の大切な注意点
- 管理栄養士が教えるビタミンKたっぷり手軽レシピ
「ビタミンKってどんな栄養素?」
「どんな食べ物に多く含まれているの?」
と気になったことはありませんか?
ビタミンCやビタミンDに比べると少し馴染みが薄いかもしれませんが、ビタミンKは血液の固まりを促す働きや骨の健康維持に関わる働きを持つ、私たちの体に欠かせない脂溶性ビタミンです。
本記事では、厚生労働省や文部科学省の公的データに基づき、ビタミンKの主な役割、多く含む食品(納豆や緑黄色野菜など)のランキングや1食あたりの目安量、効率良く取り入れる調理のコツ、服用している薬との注意点(ワルファリン等)まで分かりやすく解説します。
※この記事は「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」「日本人の食事摂取基準」等の公的資料をもとに、管理栄養士が執筆・監修しています。特定の疾病の予防や治療を目的としたものではありません。日々の健康的な食事づくりのヒントとしてお役立てください。
1. ビタミンKとは?体の中での主な働き
ビタミンKは、油脂に溶けやすい「脂溶性ビタミン」の一種です。主に「血液」と「骨」の健康維持に深く関わっています。
① 血液を止める(凝固)働きを助ける
怪我をしたときに血が自然と止まるのは、血液中に「血液を固める成分(凝固因子)」が存在するからです。ビタミンKは、肝臓でこれらの凝固因子(プロトロンビンなど)が作られる際に必要な酵素の働きを助けます。そのため、古くから「止血のビタミン」とも呼ばれています。
② 骨の健康維持をサポートする
ビタミンKは、骨の形成に関わるタンパク質(オステオカルシン)が正常に働くために必要な栄養素です。骨の健康維持に関わる重要な成分として注目されています。
2. ビタミンKの種類(K1とK2)の違い
食品に含まれる天然のビタミンKには、主に「ビタミンK1」と「ビタミンK2」の2種類があります。
| 種類 | 正式名称 | 主に含まれる食品 | 特徴 |
| ビタミンK1 | フィロキノン | 植物(緑黄色野菜、海藻類など) | 植物の葉緑体で作られるため、緑色の濃い野菜に多く含まれます。 |
| ビタミンK2 | メナキノン | 発酵食品(納豆)、動物性食品 | 微生物によって作られます。特に「納豆」に突出して多く含まれます。 |
ビタミンK1・K2はいずれもビタミンKとして同様の働きを持ちますが、食品中の分布や体内での利用され方には違いがあります。なお、人間の体内でも腸内細菌によって一部のビタミンK2が合成されています。
3. 【ランキング】ビタミンKが多い野菜一覧(100gあたり)
ビタミンKは、特に緑色の濃い葉物野菜や香草類に豊富に含まれています。普段の買い物や献立作りの参考にしてみてください。
ビタミンKが多い野菜トップ5(生・可食部100gあたり)
| 順位 | 野菜名 | ビタミンK含有量(µg) | 特徴・使いやすさ |
| 1位 | パセリ | 850 µg | 非常に豊富に含まれますが、料理の彩りや付け合わせが中心となります。 |
| 2位 | しそ(大葉) | 690 µg | 薬味や天ぷらなど、料理のアクセントとして取り入れやすい野菜です。 |
| 3位 | モロヘイヤ | 640 µg | 普段食べる野菜の中でトップクラス。スープや和え物に最適です。 |
| 4位 | 小松菜 | 310 µg | アクが少なく、そのままサッと炒め物やお浸しに使えて便利です。 |
| 5位 | ほうれん草 | 270 µg | ソテーやお浸しなど、日常的に取り入れやすい定番の緑黄色野菜です。 |
※文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より
4. 実際に食べる量で見るビタミンK量
「100gあたり」の数値だけでなく、「実際の1食量」でどのくらい摂取できるかを知っておくと、献立作りがずっとラクになります。
代表的な食品の1食あたりのビタミンK量(目安)
| 食品名 | 1食量の目安 | ビタミンK含有量(概算) | 補足・特徴 |
| 糸引き納豆 | 1パック(約45g) | 約270 µg | 手軽に1日の目安量を大きくクリアできる優れものです。 |
| 茹で小松菜 | 1株〜小鉢1杯(約70g) | 約185 µg | お浸しや炒め物でしっかり補給できます。 |
| 茹でブロッコリー | 3〜4房(約50g) | 約75 µg | 付け合わせやサラダに使いやすい人気野菜です。 |
| ひじき(乾燥) | 小さじ2程度(約5g) | 約10 µg | 煮物などにプラスすることで手軽に補えます。 |
5. ビタミンKの効率的な摂り方と調理のコツ
ビタミンKの性質を知ることで、毎日の食事からより効率よく体内で利用させることができます。
油(脂質)と一緒に調理して体内で利用されやすくする
ビタミンKは脂溶性ビタミンであるため、油と一緒に摂取することで体内で利用されやすくなると考えられています。
- ほうれん草や小松菜を「ソテー(油炒め)」にする
- ブロッコリーや緑黄色野菜に「オイルドレッシング」をかける
- 炒め物や和え物に「ごま油」や「オリーブオイル」をプラスする
加熱に強いため、様々な調理法に対応可能
ビタミンKは熱に対して比較的に安定した性質を持っています。そのため、茹でる・炒める・揚げるなどの加熱調理を行っても分解されにくく、しっかりと摂取しやすいのがメリットです。
6. ビタミンKの1日の目安量と不足時の影響
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」におけるビタミンKの目安量と、不足・過剰時の影響について解説します。
ビタミンKの1日の目安量
| 対象区分 | 目安量(µg / 日) |
| 18歳以上 男性 | 150 µg |
| 18歳以上 女性 | 150 µg |
| 妊婦 | 150 µg |
| 授乳婦 | 150 µg |
通常の食事(緑黄色野菜や納豆など)を意識していれば、十分に満たしやすい数値です。妊娠中・授乳中も特別な付加量は設定されておらず、普段通りのバランスの良い食事で問題ありません。
不足するとどうなる?
一般的な食生活を送っていれば、通常の食事や腸内細菌による合成によって一定量が補われるため、極端な不足は起きにくいとされています。
ただし、極端な偏食が続いた場合や、抗生物質の長期服用などによって腸内細菌のバランスが変化した場合は、以下のような影響が懸念されます。
- ビタミンKが不足すると、血液凝固に関わる機能が低下し、出血が止まりにくくなる場合があります。
- 骨の健康維持に関わるタンパク質が十分に働きにくくなる可能性があります。
過剰摂取のリスクはある?
通常の食事から摂取する範囲においては、過剰摂取による健康被害は報告されていません。そのため、耐容上限量(これ以上摂ると危険という基準値)も設定されていません。
7. ビタミンK摂取時の注意点(薬との相互作用)
普段の食事では安全なビタミンKですが、特定の疾患や薬剤を服用している方は摂取に制限が必要になります。
ワルファリン(ワーファリン)を服用中の方
脳梗塞や心臓病などの治療・予防で、血液を固まりにくくする抗凝固薬「ワルファリン(商品名:ワーファリンなど)」を服用している方は、ビタミンKの摂取量に注意が必要です。
ビタミンKは血液を固める側に働くため、ワルファリンの抗凝固作用を弱めてしまう可能性があります。
【ワルファリン服用中の方が特に避けるべき主な食品】
- 納豆(少量でも薬の作用を強く妨げることが知られています)
- 青汁
- クロレラ、スピルリナ製品
※緑黄色野菜の摂取制限については主治医の指示に従ってください。自己判断で極端に制限せず、必ず医師や薬剤師、管理栄養士にご相談ください。
8. Q&A(ビタミンKに関するよくある疑問)
Q1. 生後間もない赤ちゃんにビタミンK(K2シロップ)を与えるのはなぜですか?
A. 赤ちゃんの出血症(新生児乳児ビタミンK欠乏出血症)を予防するためです。
生まれたばかりの赤ちゃんは、胎盤を通したビタミンKの移行が少なく、腸内細菌もまだ未発達なためビタミンKが不足しやすい状態にあります。そのため予防を目的として、日本では出生後から乳幼児期にかけて「ビタミンK2シロップ」を複数回投与することが推奨されています。
Q2. ビタミンKはサプリメントで摂った方が良いですか?
A. 基本的には日常の食事(納豆や野菜)からの摂取で十分とされています。
納豆1パック(約45g)を食べるだけで、1日の目安量(150µg)を大きくクリアできるほど、食品から手軽に摂れる栄養素です。まずは日々の食事バランスを整えることをおすすめします。
Q3. 加熱調理や冷凍によってビタミンKは減ってしまいますか?
A. ビタミンKは熱に比較的強いため、加熱や冷凍による大きな損失は起きにくいとされています。
茹でたり炒めたりしても比較的安定しています。ただし、野菜のその他の水溶性成分(ビタミンCなど)の流出を考慮する場合は、加熱時間を短くするなどの工夫が役立ちます。
Q4. 納豆以外で手軽にビタミンKを補える食べ物はありますか?
A. 小松菜、ほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜がおすすめです。
納豆が苦手な方は、毎日の味噌汁に小松菜やわかめを入れたり、付け合わせにブロッコリーを添えたりすることで手軽に補給できます。
Q5. ビタミンKは毎日続けて摂っても大丈夫ですか?
A. 通常の食事の範囲であれば、毎日問題なく摂取していただけます。
野菜や納豆など日常的な食品に含まれる量であれば、過剰障害を起こすリスクは極めて低いとされています。偏りなく毎日の食事に取り入れることが理想的です。
9. まとめ
- 体での働き: 血液を固める(凝固)サポートと、骨の健康維持を助ける役割を持つ。
- 多く含む食品: 納豆が突出して多く、パセリ、しそ、モロヘイヤ、小松菜などの野菜や海藻類にも豊富。
- 効率的な摂り方: 脂溶性のため、油を使った炒め物やドレッシングと合わせることで体内で利用されやすくなる。
- 注意点: 通常の食事での過剰障害は報告されていないが、ワルファリン(抗凝固薬)服用中の方は納豆や青汁などの摂取制限が必要(医師にご相談ください)。
💡管理栄養士の実務アドバイス
ビタミンKたっぷり!「小松菜とツナのごま油炒め」
【ポイント】
納豆が苦手な方でも手軽にビタミンKを補給できる副菜レシピです。ビタミンKが豊富な「小松菜」を、脂質を含む「ツナ」や「ごま油」と組み合わせることで工夫しています。
- 材料(2人分):
- 小松菜:1袋(約200g)
- ツナ缶:1缶(※ノンオイルは汁ごと、油漬けは軽く油を切って使用するとよいでしょう)
- ごま油:小さじ1
- 醤油:小さじ1
- 白いりごま:適量
- 作り方:
- 小松菜は洗って水気を切り、3〜4cm幅の長さにカットする。
- フライパンにごま油を熱し、小松菜の茎の部分から炒め、しんなりしてきたら葉の部分とツナを加える。
- 全体に火が通ったら醤油を回し入れてサッと炒め合わせ、仕上げにいりごまを振って完成。
公的参考文献・エビデンス
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症予防のための食生活」
- 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
※本記事は「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」「日本人の食事摂取基準」等の公的資料をもとに、管理栄養士が執筆・監修しています。







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